ハチミツの種類は、透明に近い淡い色のものから、黄金色、琥珀色、さらに黒に近い濃い色のものまで、さまざまなハチミツがあります。
「色が濃いハチミツの方が栄養価が高いの?」「白っぽいハチミツの方が体にやさしい?」「濃い色は加熱された色ではないの?」そんな疑問を持ったことがある方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、ハチミツの色だけで品質の良し悪しを判断することはできません。
一方で、ハチミツの色には、蜜源植物や含まれる成分の違いがある程度反映されています。
この記事では、ハチミツの色が違う理由を科学的な資料から整理しながら、「色によるハチミツの選び方」についてもご紹介します。
ハチミツの色はなぜ違う?
ハチミツの色は、主にミツバチが蜜を集めてきた植物の種類(蜜源植物)によって変わります。
FAO・WHOが設置した国際食品規格委員会(Codex Alimentarius Commission)のハチミツ規格では、ハチミツの色は、ほぼ無色のものから濃い茶色まであるとされています。
つまり、非常に淡いハチミツも、黒に近いハチミツも、どちらも自然に存在するものです。
また、香りや風味についても、基本的には植物由来の特徴を反映するとされています。たとえば、
- アカシア系……透明感のある淡い黄色
- レンゲ……淡い黄金色
- 百花蜜……黄色~琥珀色までさまざま
- そば……非常に濃い褐色
というように、蜜源によって大きな違いがあります。そのため、「色が濃い=加工されたハチミツ」と判断することはできません。
濃いハチミツにはポリフェノールが多い傾向がある
ハチミツの色と成分については、興味深い研究があります。
複数の研究で、色の濃いハチミツほど、フェノール化合物、フラボノイド、抗酸化活性
などが高い傾向が報告されています。ただし、これはあくまで「傾向」です。
ハチミツの組成は、蜜源植物、地域、土壌、気候、保存状態、加工方法などによっても変わります。様々な色は、ハチミツの特徴を知る一つのヒントになります。
崎谷氏が提唱する「ハチミツの色による選び方」
崎谷博征氏は、著書『奇跡のハチミツ自然療法』の中で、ハチミツの選び方について詳しく解説しています。
その中には、「ハチミツの色による選び方」という項目があり、健康な人は好きなハチミツを選び、心身に不調がある人は白っぽいハチミツから始めるという考え方が紹介されています。
崎谷氏は、色の濃いハチミツにはフェノール化合物やフラボノイドなどの植物由来成分が多い傾向があることに着目しています。
そして、慢性的な不調がある場合には、これらの「抗酸化作用を持つ植物成分」を大量に摂取することが必ずしも適しているとは限らない、という独自の代謝理論から、まず淡い色のハチミツを選ぶことを提唱しています。
「抗酸化物質は多いほどよい」とは限らない?
一般的な栄養学では、ポリフェノールやフラボノイドは抗酸化作用を持つ植物成分として研究されています。
一方、崎谷氏は、「抗酸化物質が多ければ多いほど健康によい」という考え方には慎重です。
特に慢性的にエネルギー代謝が低下している状態では、抗酸化作用の強い物質を大量に摂ることによって、細胞内の酸化還元バランスが一方向に傾く可能性がある、という考え方を示しています。
この「還元ストレス」を重視する考え方が、「体調がすぐれない人は、まず白っぽいハチミツから」という崎谷氏の選び方につながっています。
ただし、この点については、現時点で一般的な医学・栄養学において確立した「ハチミツの色による健康指針」ではありません。
そのため本記事では、崎谷氏独自の代謝・健康理論に基づく考え方としてご紹介します。
白いハチミツが「糖だけ」というわけではない
色の濃いハチミツほど、フェノール化合物、フラボノイド、抗酸化活性が高い傾向があるといわれていますが、「白いハチミツには栄養がない」というわけではありません。
ハチミツの中心となる成分は、色にかかわらず主に、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)などの糖質です。そのほかに少量の、有機酸、酵素、アミノ酸、ミネラル、植物由来成分などを含んでいます。
ハチミツは、濃い色のものだけが特別な食品なのではありません。
濃いハチミツの色はカラメル色素というわけではない
もう一つ気をつけたいのが、ハチミツの褐色と食品添加物の「カラメル色素」を混同しないことです。
食品に使用されるカラメル色素の中には、糖類を加熱して製造するものがあり、その製造方法によってはアンモニウム化合物や亜硫酸化合物を使用する種類もあります。そのため「濃い茶色はカラメル色素では?」と思うかもしれません。
しかし、天然のハチミツ自体が、ほぼ無色から濃い褐色まで幅広い色を持っています。
さらに国際食品規格委員会(Codex Alimentarius Commission)のStandard for Honey(ハチミツ規格)では、ハチミツとして販売する製品には、ハチミツ以外の食品原料や食品添加物を加えてはいけないとされています。
したがって必ずしも、濃いハチミツに、カラメル色素や亜硫酸アンモニウムが使われているという判断はできません。
むしろ、純粋なハチミツの色の違いは、まず蜜源植物など天然由来の違いとして考える必要があります。
加熱によってハチミツの色が濃くなることはある
ただし、ハチミツは保存期間や加熱によって色が変化することがあります。
糖を含む食品では、加熱や長期間の保存によって、メイラード反応、糖の分解反応などが進み、色が濃くなることがあります。
色だけでは「良いハチミツ」は判断できない
ハチミツを選ぶとき、「黒いハチミツの方が栄養がある」「白いハチミツの方が体によい」と色だけで決める必要はありません。むしろ重要なのは、下記になります。
① 蜜源がわかること
どの植物から採れたハチミツなのかがわかるものを選びます。
② 原産地や生産者が明確であること
採蜜地や養蜂環境が確認できるものが理想です。
③ シロップなどが混入されていないこと
ハチミツ以外の糖液が加えられていないことは重要なポイントです。
④ 過度な加熱処理が行われていないこと
強い加熱や長期間の保存は、ハチミツの成分を変化させる可能性があります。
⑤ 養蜂環境を確認する
ミツバチの餌や農薬、周辺環境などについて情報を公開している生産者であれば、より選びやすくなります。
何色のハチミツを選べばいい?
ここまでをまとめると、次のように考えることができます。
健康な人
色だけにこだわらず、香りや味、蜜源など自分の好みで選ぶ
体調がすぐれない人
崎谷氏の理論を参考にするのであれば、まず白~淡い黄色のハチミツから少量試してみるという選択肢があります。
ただし、これは医学的に確立された治療法ではありません。
体調や疾患がある場合には、自分の反応を見ながら無理のない範囲で取り入れることが大切です。
参考資料
- Codex Alimentarius Commission, Standard for Honey CXS 12-1981
- 崎谷博征『奇跡のハチミツ自然療法』
- 崎谷博征「Dr.崎谷ブログ」『奇跡のハチミツ自然療法』目次・関連発信
- Becerril-Sánchez AL, et al. Phenolic Compounds in Honey and Their Relationship with Antioxidant Activity, Botanical Origin, and Color.
- Tananaki C, et al. ハチミツのフェノール含量・抗酸化活性・色に関する研究
※本記事は食品や栄養についての一般的な情報を紹介するものであり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。
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