食に対する常識を変えた、崎谷医師の理論
「糖は身体に悪い」
「甘いものは控えた方がよい」
「青魚に含まれるオメガ3は健康によい」
「植物油は動物性脂肪よりも健康的」
このような、それまで私たちが当たり前のように信じてきた健康常識に対し、崎谷医師は従来とは異なる視点から、糖のエネルギー代謝や多価不飽和脂肪酸(PUFA・プーファ)の問題を取り上げています。
初めてその理論に触れたとき、私は大きな衝撃を受けました。
関連する書籍を読み、崎谷医師が説明する身体のエネルギー代謝の仕組みについて学ぶうちに、その理論が非常に説得力があるものと感じました。
そして、その理解が深まるにつれ私の頭に浮かんできたのが、身近な親世代の人たちの食の好みや食習慣、健康状態でした。
「そういえば、あの人はこんな食生活だった」
これまで何気なく見てきた食習慣が、まったく違った意味を持って感じられるようになったのです。
健康に人一倍気を配っていた、私の母親
私の実の母は、50代から糖尿病と高血圧を抱え、60代に神経難病を患い、70代で亡くなりました。
母は決して、健康をおろそかにしていたわけではありません。むしろ、自分の身体をよくしようと、健康に良いといわれることを積極的に取り入れていました。
当時も今も、青魚に含まれるDHAやEPAは健康によいと広く紹介されています。母もその情報を信じ、頻繁に青魚を食べました。
また、母は身体に良いといわれる様々なサプリメントも飲んでいました。
糖尿病を患っていたこともあり、食事に気を使い、ご飯の量も減らしていました。
今振り返ると、母が選んでいたのは、当時の健康情報からすれば、ごく自然な選択だったと思います。
少しでも健康になりたい、病気を悪化させたくない、そのような思いから、一生懸命に取り組んでいたのだと思います。
ところが、プーファフリーの理論を学んでから母の食生活を振り返ると、思いもよらないことに気づきました。
母が健康に良いと信じて積極的に取り入れていたものの中には、崎谷理論では必ずしも推奨されないものが多く含まれていたのです。
特に青魚に多く含まれるオメガ3は、崎谷理論ではPUFAの一種として、その酸化しやすい性質やエネルギー代謝への影響が問題視されています。
また、糖を控えることについても、崎谷理論では身体のエネルギー供給という観点から、従来とは異なる考え方が示されています。
母が病気になったのは、遺伝的な要因や生活環境、さまざまな身体的条件が影響している可能性があるため、全て食事が原因ではないかもしれません。
しかし、母の食生活を思い返しすと、「健康のためによかれと思って続けてきたことが、本当に母の身体に合っていたのだろうか」と考えずにはいられませんでした。
この疑問は、私が食と健康について考える上で、大きなものとなりました。
母とは正反対だった、93歳の親戚の女性の食生活
一方で、私の身近には、母とはまったく対照的な食生活を送ってきた親戚の女性がいます。
彼女は、これまで大きな病気をすることもなく、93歳の現在も元気に暮らしています。その人の食生活は、世間一般でいわれる健康的な食事とは、少し違っていました。
青魚が嫌いで全く食べたことはなく、普段の食事も普通の人の3分の1くらいの量しか食べていませんでした。
その一方で、甘いものや果物が大好きで、毎食後果物を食べ、毎日こしあんの入った和菓子や、「一里飴」という飴を食べていました。
「一里飴」は室町時代から埼玉の越生梅林の蜂蜜を使って作られてきた飴です。砂糖、水飴、蜂蜜というシンプルな材料で作られている昔ながらのべっこう飴です。
周囲の人たちは彼女の偏食が、健康を損ねるのではないかと心配していました。
一般的な栄養バランスの考え方からすれば、決して理想的とはいえない食生活だったからです。
しかし、彼女は80歳を過ぎるまで現役で歯科医師を続け、現在も一度も大きな病気をせず元気に過ごしています。
私は崎谷医師の理論を書籍で学び、彼女の食習慣が以前とは違って見えるようになりました。
「青魚を食べず、甘いものや果物を好む。この食生活は、崎谷理論の考え方と重なる部分があるのではないだろうか」と感じたのです。
もちろん、彼女が元気な理由を、果物や甘いものだけで説明することはできませんが、健康に気を配っていた母との対比は、私にとって強く印象に残るものでした。
それぞれの普段の体温の違い
そして、二人には食生活だけでなく、もう一つ大きな違いがあったのが、普段の体温です。
実の母はいつも35度台でした。それに対して親戚の女性は、普段から37度ありました。私は以前から、この体温の違いを不思議に思っていました。
崎谷理論では、糖を利用したエネルギー代謝や、身体が熱を生み出す働きが重視されていす。
その事を知るようになって、体温の差は、二人の糖の摂取量の違いが、身体のエネルギー代謝に影響を与えたのではないかと考えるようになりました。
母とその女性の食生活、健康状態、普段の体温を一緒に振り返ったとき、私には崎谷医師が説くエネルギー代謝の考え方と、重なる部分があると感じました。
身近な人たちを観察することで、理論が自分の中でつながっていった
私は、母とその女性だけでなく、周囲の親世代の人たちについても、食の好みや食習慣、健康状態を思い返すようになりました。
どのようなものを好んで食べていたのか、何を健康に良いと信じていたのか、年齢を重ねてからどのような健康状態だったのかを観察して、自分の中で分析するようになりました。
人の健康状態は、全て食事だけで決まるものではないかもしれません。
しかし、書籍の中で学んだことと、長年見てきた人たちの姿が自分の中で繋がり、自分が見てきた事を理解する一つの手がかりになりました。
今後も大切にしたいこと
母の食生活を思い返すと、今でもさまざまな思いが浮かびます。母は母なりに、少しでも健康でいようと努力していました。
その姿を知っているからこそ、健康情報を信じることの難しさを感じます。
一方、周囲から偏食と言われてきた親戚の女性が、93歳の今も元気でいることは、私に多くのことを考えさせてくれました。
プーファフリーの考え方を学ぶことで、糖やPUFA、身体のエネルギー代謝について、これまでとは異なる視点を持つようになりました。
そして現在私は、PUFAを意識しながら、食材を選び、毎日の料理を楽しんでいます。これは自分が学び、考え、納得して選んでいる食生活です。
今回お伝えしたのは、私が身近な人たちを見てきた中で感じたことですが、当たり前だと思っていた食の常識を、別の角度から見つめ直すきっかけにしていただけたら嬉しく思います。
健康のため我慢したり不安を感じるばかりではなく、身体をいたわりながら、毎日の食事を美味しく楽しんでいきたいですね。
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