私たちが毎日食べている食品には、さまざまな種類の脂肪酸が含まれています。
前回の記事「オメガ3とオメガ6の違いについて」では、PUFA(多価不飽和脂肪酸)の種類や働き、一般的な栄養学とプーファフリーの考え方についてご紹介しました。
今回は、もう少し身近な食生活に目を向けてみたいと思います。
PUFAは、植物油だけに含まれているわけではありません。
普段何気なく使っている調味料や加工食品、肉、魚、卵などにも含まれています。
特に植物油を使用した加工食品は、原材料を確認しないと、どのような油が使われているのか分かりにくいことがあります。
崎谷博征医師は、著書『「プーファ」フリーであなたはよみがえる!』などで、PUFAの酸化しやすい性質に着目し、日常的な摂取について注意を促しています。
一方、一般的な栄養学では、PUFAの一部は必須脂肪酸であり、適切な摂取が必要とされています。
この記事では、こうした考え方の違いも踏まえながら、PUFAを含む食品と、毎日の食生活で確認しておきたいポイントを整理します。
※本記事は、脂肪酸について理解を深めるための一般的な情報です。特定の食品を全面的に避けることや、病気の治療・予防を目的とするものではありません。
PUFAはどのような食品に含まれている?
PUFAには、大きく分けてオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸があります。
代表的なものは次のとおりです。
- オメガ6系:リノール酸、アラキドン酸
- オメガ3系:α-リノレン酸、EPA、DHA
PUFAが多く含まれる食品として、植物油、ナッツ類、種子類、魚介類などが挙げられます。
また、植物油を使用して製造された加工食品や調味料も、日常的な摂取源となります。ただし、食品に含まれる脂肪酸は一種類だけではありません。
PUFAを多く含む植物油
PUFAの摂取源として、まず注目したいのが植物油です。
植物油は原料によって脂肪酸の組成が大きく異なります。
| 油の種類 | 主な脂肪酸の特徴 |
| 大豆油 | リノール酸が多く、α-リノレン酸も含む |
| コーン油 | リノール酸が多い |
| 一般的なひまわり油 | リノール酸が多いタイプがある |
| ごま油 | リノール酸とオレイン酸が主成分 |
| 亜麻仁油 | α-リノレン酸が多い |
| えごま油 | α-リノレン酸が多い |
| オリーブオイル | オレイン酸が中心 |
| ココナッツオイル | 飽和脂肪酸が中心 |
※ひまわり油などには、品種によってオレイン酸の割合が高い製品もあります。また、油の脂肪酸組成は原料や製品によって異なります。
オメガ6系脂肪酸を多く含む油
大豆油やコーン油には、オメガ6系のリノール酸が比較的多く含まれています。
リノール酸は、一般的な栄養学では必須脂肪酸に分類されています。
一方、崎谷医師は、リノール酸を含むPUFAの酸化されやすい性質に注目し、これらを多く含む油を積極的に摂取することに慎重な立場を示しています。
オメガ3系脂肪酸を多く含む油
亜麻仁油やえごま油は、オメガ3系のα-リノレン酸を豊富に含むことで知られています。
健康を意識して、これらの油を取り入れている方も多いのではないでしょうか。
しかし、α-リノレン酸もPUFAの一種です。
化学構造上、二重結合を複数持つため、酸化を受けやすい特徴があります。
崎谷理論では、オメガ6だけでなくオメガ3についても、酸化の観点から摂取に慎重な考え方が示されています。
加工食品や調味料にも含まれるPUFA
家庭で使用する油を意識していても、加工食品から植物油を摂取していることがあります。
たとえば、次のような食品です。
- マヨネーズ
- ドレッシング
- スナック菓子
- ポテトチップス
- 市販の揚げ物
- インスタント食品
- 一部のパンや焼き菓子
- 油脂を使った冷凍食品
これらの食品には、大豆油、なたね油、パーム油など、さまざまな種類の油脂が使用されています。
原材料表示を確認してみましょう
食品の原材料表示には、「植物油脂」「食用植物油脂」などと記載されていることがあります。
まずは、普段購入している食品にどのような油脂が使われているのか、確認することから始めてみましょう。
肉類に含まれるPUFAの違い
肉類にもPUFAは含まれています。
ただし、動物の種類や飼料、肉の部位、脂身の量によって脂肪酸組成は異なります。
反芻動物(牛・羊)の水素添加とは?
牛や羊は反芻動物と呼ばれ、複数の胃を使って食物を消化する特徴があります。
反芻胃の微生物は、飼料に含まれる不飽和脂肪酸の一部を水素添加する働きを持っています。
牛や羊などの反芻動物には、「ルーメン(第一胃)」と呼ばれる胃があり、そこに生息する微生物が食物の消化を助けています。
この微生物には、飼料に含まれるPUFAの二重結合に水素を付加し、より飽和度の高い脂肪酸へ変化させる働きがあります。これを「生物学的水素添加(バイオ水素添加)」といいます。
この過程でPUFAの一部が飽和脂肪酸などに変化するため、牛や羊の体脂肪は、豚や鶏に比べてPUFAの割合が低くなる傾向があります。
豚肉・鶏肉
豚や鶏は反芻動物ではありません。
飼料に含まれる脂肪酸の影響を、体脂肪の組成が受けることがあります。
そのため、豚脂や鶏脂には、牛脂と比べてリノール酸などのPUFAが多く含まれる傾向があります。
特に鶏皮や脂身の多い部位では、食べる脂質の総量も増えやすくなります。
脂質の摂取量を調整したい場合は、皮を取り除いた鶏むね肉やささみ、脂身の少ない部位を選ぶ方法もあります。
魚介類に含まれるPUFA
魚介類には、オメガ3系脂肪酸のEPAやDHAが含まれています。
特にサバ、イワシ、サンマなどの脂の多い魚は、EPAやDHAの供給源として知られています。
一般的な栄養学では、魚を含む食生活と心血管の健康との関係について、多くの研究が行われています。
一方、崎谷医師は、EPAやDHAについても二重結合が多く、酸化されやすい構造を持つことに注目しています。
魚介類には、PUFAが少ないものも多く、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなども含まれています。そのため魚油の酸化について、そのまま魚介類全体に当てはめることはできません。
ナッツ類や種子類にもPUFAが含まれる
ナッツ類や種子類もPUFAの摂取源です。
たとえば、
- くるみ:リノール酸とα-リノレン酸
- アーモンド:オレイン酸とリノール酸
- ひまわりの種:主にリノール酸
- ごま:リノール酸とオレイン酸
などが含まれています。
崎谷理論から考える日常の油選び
崎谷医師が発信するプーファフリーの考え方では、PUFA全体の摂取量や酸化に注目します。
PUFAの割合が比較的低い脂肪として、ココナッツオイルやバター、牛脂などがあります。
植物油を多く使用する加工食品や、日常的に使用する調理油を見直すことが一つの方法として挙げられます。
まとめ|毎日の食生活でPUFAを意識するために
PUFAは、植物油だけでなく、加工食品、調味料、肉、魚、ナッツ類など、身近な食品に幅広く含まれています。
崎谷理論では、PUFAの酸化しやすさを重視し、積極的に摂取量を増やすことに慎重な考え方が示されています。
一方、一般的な栄養学では、必須脂肪酸としての役割や、心血管疾患などとの関連を踏まえた評価が行われています。
私たちが日常生活でできることは、まず食品に含まれる油脂の種類を知ることではないかと思います。
毎日使っている調理油や、市販の食品の原材料表示を意識し、自分の食生活に合った方法を考えていきたいですね。
次回は、PUFAの特徴の一つである「脂質過酸化」について、もう少し詳しく見ていきます。
脂質が酸化すると何が起こるのか、そして酸化と細胞の働きにはどのような関係があるのかを、研究で分かっていることと、まだ十分に解明されていないことに分けて整理します。
参考資料
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html - 文部科学省「食品成分データベース」
https://fooddb.mext.go.jp/ - 農林水産省「植物油などに含まれる脂肪酸について教えてください」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1504/01.html - WHO(2023)「Saturated fatty acid and trans-fatty acid intake for adults and children」
https://www.who.int/publications/i/item/9789240073630 - 崎谷博征『「プーファ」フリーであなたはよみがえる!』
崎谷理論の考え方を整理する際の参考文献。
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