韓国ドラマやK-POPを見ていると、年齢を問わず、透明感やツヤのある肌が印象的な人が多いと感じることがあります。
「韓国コスメを使っているから?」
「毎日シートマスクをしているから?」
「韓国式の10ステップスキンケアに秘密があるの?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
前回の記事では、韓国の美肌を支えていると考えられる食習慣について紹介しました。
今回はその続編として、韓国で見られるスキンケアや美容習慣について、皮膚科学の研究や韓国で行われた調査をもとに詳しく見ていきます。
調べてみると、韓国の美しい肌を持つ人の、美肌のヒントは「高価な化粧品をたくさん使うこと」だけではありませんでした。
むしろ、紫外線から肌を守ること、乾燥させないこと、肌トラブルを放置しないこと
そして毎日のケアを続けること。このような基本的な習慣の積み重ねが、大きなポイントとして見えてきます。
紫外線対策をスキンケアの一部として考える
肌を考えるうえで最初に注目したいのが紫外線対策です。
肌老化というと「加齢」の影響だけを考えてしまいがちですが、皮膚科学では紫外線による老化を、光老化(フォトエイジング)と呼びます。
紫外線を長期間浴びることで、シミ・色素沈着、乾燥、しわ、ハリや弾力の低下などにつながることがあります。
米国皮膚科学会(AAD)でも、アンチエイジングケアの基本として、まず紫外線から肌を守ることを挙げています。日焼け止めと保湿剤は、アンチエイジングの基本となるスキンケアとされています。
韓国の皮膚科を訪れた1,015人を対象とした調査では、スキンケア製品として日焼け止めを使用している人は90.9%、女性では92.2%でした。
ただ、この調査では一年中毎日日焼け止めを使用している人ばかりではなく、夏だけ使用する人も含まれています。
そのため「韓国の人はみんな毎日日焼け止めを塗っている」という意味ではありません。
それでも、日焼け止めが化粧水などと同様に日常のスキンケア用品として認識されていることは、とても興味深い点です。
「何を足すか」より肌を乾燥させない
韓国美容というと美容液やエッセンスのイメージがありますが、実際の調査を見ると、保湿を重視する習慣が見えてきます。
2018年に韓国で開催されたSkin Health Expoの参加者355人を調べた研究では、
- 化粧水 70.79%
- ローション 62.64%
- 保湿・栄養クリーム 47.47%
- 日焼け止め 47.19%
- エッセンス 32.3%
- セラム 29.78%
- フェイスマスク・パック 27.81%
が使用されていました。
また別の調査では、1回のスキンケアに3〜6種類の製品を使う人が69.4%を占めています。
ここから見えてくるのは、「美容成分だけを一点投入する」というより、水分を補い、乾燥を防ぎながら肌を整えていくという考え方です。
なぜ年齢を重ねるほど保湿が重要?
皮膚の一番外側にある「角層」は、外部刺激から体を守りながら、肌内部の水分が逃げるのを防ぐ役割を持っています。
年齢を重ねるにつれて肌は乾燥しやすくなるため、「何を塗るか」以上に、肌の水分を逃がさないことが大切になります。
保湿剤には肌の水分を保持する働きがあり、乾燥による細かなシワを目立ちにくくすることにもつながります。
「10ステップスキンケア」は必ずしも必要ではない
韓国美容を調べるとよく登場するのが、「韓国式10ステップスキンケア」です。
クレンジングから始まり、洗顔 → 化粧水 → エッセンス → 美容液 → シートマスク → アイクリーム → 乳液 → クリーム……というように、いくつもの化粧品を重ねる方法です。
ところが韓国の調査では、3〜6種類程度のスキンケア製品を使用している人が多数でした。つまり、「韓国の人は毎日全員10ステップ」というイメージは、少し誇張されていると考えたほうがよさそうです。
複数のアンチエイジング化粧品を一度に使い始めると、肌への刺激が強くなり、赤みや乾燥などを起こしてしまうことがあります。
米国皮膚科学会も、たくさんの製品を使うことより、肌に合った少数の製品を継続して使うことを勧めています。
クレンジングは丁寧に、でも洗いすぎない
韓国美容で有名なのがダブルクレンジングです。
韓国の女性を対象にした調査では、最初のクレンジング方法としてクレンジングオイルが最も多く使われ、その後に洗顔料を利用する習慣も見られました。
日焼け止めやファンデーションを日常的に使用する場合、メイクや油性成分をきちんと落とすことは大切です。
しかし、強い洗浄力の洗顔料を何度も使用したり、熱いお湯で洗ったり、タオルでこすったりすると、肌の乾燥や刺激につながることがあります。
年齢と共に、皮脂量や肌の保水力も変化してくるため、若い頃と同じ洗顔方法が合わなくなることもあります。
韓国美容からクレンジング習慣は、汚れは落とすけれど、必要以上に肌を乾燥させないというバランスを意識しています。
シートマスクは「長時間ほど良い」わけではない
韓国美容の象徴ともいえるシートマスク。
韓国で行われた調査でも、約28%の人がフェイスマスクやパックを使用していました。
シートマスクには、「長くつけていたほうが美容成分が入るのでは?」と思ってしまいがちですが、ここには興味深い研究があります。
2024年に発表されたランダム化比較試験では、シートマスクを5分、15分、25分、40分使用した場合の肌状態が比較されています。
短時間の使用では肌水分量の改善などが確認されましたが、25分を超える長時間の使用では、乾燥や赤みが増える傾向も報告されました。
つまり「長くつければつけるほど良い」とは限らないということです。
シートマスクを利用する場合は、パッケージに記載された使用時間を守り、「せっかくだから乾くまでつけておこう」と長時間放置しないほうがよいでしょう。
「水光肌」は水分を含んだなめらかな肌
韓国美容でよく聞く言葉に、「水光肌(ムルグァンピブ)」があります。
まるで肌の内側から水分があふれているような、なめらかでツヤのある肌を表す言葉です。
「ツヤ肌」というと油分をたくさん塗ればよいと思ってしまいがちですが、肌の見え方には角層の水分状態や表面のなめらかさも関係しています。
乾燥すると角層が乱れ、肌表面のキメが粗く見えることがあります。
反対に、角層の水分状態が整っていると表面がなめらかになり、光が比較的均一に反射するため、肌に自然なツヤを感じやすくなります。
乾燥を防いで、肌表面をなめらかに保つことが基本とされています。
目的に合わせた「機能性化粧品」が身近
韓国では「機能性化粧品」というカテゴリーが制度として定められています。
韓国食品医薬品安全処(MFDS)では、
- 色素沈着を防ぐ目的
- シワ改善
- 紫外線防御
- ニキビ症状の緩和
- アトピー傾向肌の乾燥緩和
など、一定の機能を持つ化粧品について制度を設けています。
そのため韓国美容では、「なんとなく良さそうだから使う」というだけでなく、
自分が何をケアしたいのかによって化粧品を選ぶという考え方も発達しています。
「シミもシワも毛穴も全部何とかしたい!」と思ってしまうところですが、一度にたくさんの製品を使うより、
今、一番気になる肌悩みは何かを決めてから一つずつケアしていくほうが、肌への負担も少なくなると考えられています。
若いうちから「予防する」意識が高い
韓国の調査で興味深かったのが、スキンケアを始める年齢です。調査対象者が化粧品を使い始めた平均年齢を見ると、
10代15.9歳、20代19.3歳、30代20.9歳、40代21.7歳、50代22.9歳、60代24.0歳となっており、若い世代ほど早い時期から化粧品を使用する傾向がありました。
つまり韓国では、「シワやシミが目立ってからケアを始める」というより、若いうちから肌を守るという美容文化が広がってきたことがうかがえます。
美容皮膚科や専門家を利用するという選択肢
韓国美容を考えるとき、化粧品だけで説明することはできません。
韓国では皮膚科や美容医療を利用する文化も発達しており、肌トラブルや美容上の悩みを専門家へ相談するという選択肢も比較的身近になっています。
Skin Health Expo参加者への調査では、「スキンケア製品について最も信頼できる情報源」として皮膚科医を選んだ人が41.55%で最多でした。
美肌を保つためには、「自分だけで何とかしようとしない」ことも大切なのかもしれません。
韓国美容から取り入れたいのは「10ステップ」より3つの習慣
今回、韓国人の美肌の要因となるスキンケアについて調べてみて、高価な美容液を何種類も揃えたり、毎日10ステップのスキンケアをすることよりも次の3つを大切にしていると感じました。
1.毎日の紫外線対策
シミやシワができてから高価な化粧品を探すより、紫外線ダメージをできるだけ蓄積させないことを意識する。
2.洗いすぎず、しっかり保湿
肌を必要以上に洗浄せず、洗顔後は水分が逃げないように保湿する。
3.一度決めたケアをコツコツ続ける
美容情報を見るたびに化粧品を変えるのではなく、自分の肌に合った基本的なケアを継続する。
この3つは、とてもシンプルです。
そして、米国皮膚科学会でもアンチエイジングケアの基本として紫外線対策と保湿が重視されています。
韓国美肌から学ぶべきことは、特別な美容法というより、肌を日々守る習慣が大切ということです。
まとめ|韓国人の美肌の秘密は「特別な化粧品」より毎日の習慣
韓国美容というと、「何の美容液を使っているのだろう?」「どんな韓国コスメが人気なのかな?」と、つい化粧品そのものに注目しがちです。
しかし今回調べてみると、
紫外線対策を意識する、肌を乾燥させない、クレンジングは丁寧にする
美容成分を重ねすぎない、シートマスクを上手に使う、肌トラブルを放置しない
若いうちから予防する、毎日のケアを続ける
といった日常の積み重ねが、韓国の美肌文化を支えていることが見えてきました。
前回ご紹介した「食習慣」に加えて、内側と外側の両方から肌を整えていくこと。
それこそが、年齢を重ねても健やかでツヤのある肌を保つための、一番現実的な美肌習慣なのではないかと韓国のスキンケアから学びました。
参考文献
- Lee YB, et al. Knowledge and Behavior Regarding Cosmetics in Koreans Visiting Dermatology Clinics. Annals of Dermatology. 2017;29(2):180-186.
韓国の皮膚科来院者1,015人を対象に、化粧品、日焼け止め、保湿剤、クレンジングなどの使用実態を調査した研究。 - Lee YB, et al. Perceptions and Behavior Regarding Skin Health and Skin Care Products: Analysis of the Questionnaires for the Visitors of Skin Health Expo 2018. Annals of Dermatology. 2020;32(5):375-382.
韓国Skin Health Expo参加者355人を対象とした、スキンケア製品の利用状況や肌に対する意識についての調査。 - Wang Y, et al. Short-term skin reactions and changes in stratum corneum following different ways of facial sheet mask usage. 2024.
シートマスクの使用時間と角層の水分量、経皮水分蒸散量、赤み、乾燥などを比較したランダム化比較試験。 - Different Cosmetic Habits Can Affect the Biophysical Profile of Facial Skin: A Study of Korean and Chinese Women.
韓国・水原の女性と中国の女性の美容習慣と肌状態を比較し、日焼け止めや保湿剤などの使用と皮膚水分量、TEWL、弾力などとの関連を検討した研究。 - American Academy of Dermatology Association. Skin care in your 40s and 50s.
40〜50代のスキンケアとして、紫外線対策、保湿、やさしい洗顔などを推奨。 - American Academy of Dermatology Association. How to select anti-aging skin care products.
アンチエイジングケアの基本として日焼け止めと保湿剤を挙げ、複数の製品を一度に使用することによる刺激にも注意を促している。 - American Academy of Dermatology Association. Skin care on a budget.
洗顔、保湿、UVケアなど、肌を健やかに保つ基本的なスキンケアについて解説。 - Ministry of Food and Drug Safety, Republic of Korea(MFDS). Functional Cosmetics.
韓国における機能性化粧品の制度や、シワ改善、紫外線防御、色素沈着などに関するカテゴリーを解説。
関連記事


